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補助金の概要と活用のポイント

当社では「補助金」を活用されていますか?

「補助金」は、ある一定の取り組みなどを行ったときに支給される、返済不要なお金です。売上ではないので、受給したお金は丸々利益となります。

ここでは「補助金」の概要や活用する際のポイントをお話ししていきます。

 

補助金とは何か?

国や地方自治体には政策目標があります。

例えば「強い経済」や「子育て支援」「社会保障」といったものです。そういった目標の達成に向けては、それに協力する人を支援することが有効です。

支援には「税の優遇」や「人材によるサポート」などありますが、そうした中で政策目標にあった取り組みをすると「お金」が給付されるものが「補助金」になります。

補助金にはたくさんの種類があり、国(経済産業省や厚生労働省など)のものや地方自治体・財団のものなど多種多様です。

補助金によって多少言葉など変わりますが、おおむね次のような流れになります。

助成金とは違いは?

補助金と似た言葉に助成金がありますが、意味の明確な違いはありません。

ただ、経済産業省関係のものは「〜補助金」という名前のものが多く、厚生労働省関係や東京都関係では「~助成金」というものが多い傾向が見られます。

いずれにせよ、制度の要件を満たせば給付される「お金」だと認識しましょう。

ここでは補助金という言葉で助成金のことも含めて記載します。

 

補助金のタイプは大きく2つ

補助金の給付のタイプとして、応募した書類などが審査されて採点上位のものが選ばれるもの(これを便宜的に「採択型」とよびます)と、条件や書類が揃えば給付されるもの(これを便宜的に「条件型」とよびます)があります。

「採択型」は比較的給付額が大きい傾向があり、設備投資などへの活用が有効です。しかし申請しても必ずしも採択されるという保証はないので、しっかり準備をすることが大切です。

一方、「条件型」のものは求められる条件をみたせば給付されますので、補助金が出る取り組みをしていても制度を知らないだけで受給できないというのは「損」以外の何物でもありません。

ちなみに経済産業省関係は「採択型」が多く、厚生労働省関係は「条件型」のものが多い傾向があります。

 

補助金のメリデメ

制度によって特徴が異なるので一概には言えませんが、一般的なメリット・デメリットは次の通りです。

(メリット)
・給付金は利益と同等
営業活動で得られる利益は売上の一部です。例えば利益率が10%の場合、売上が1000万円だと利益は100万円です。

補助金は採択されれば給付されるわけですから、例えば100万円の給付を受けた場合、それは1000万円の売上を上げたことと同じ価値があることになります。

・自信につながる
制度によって提出する書類は異なりますが、主に事業計画書などが求められることが多いです。そしてその準備にはそれなりの時間がかかります。

頑張って作った計画書で補助金を得られた時には、その分大きな「自信」となるでしょう。

(デメリット)
・基本的に先払い
これはデメリットというか注意点にもなりますが、補助金の給付は申請時に計画した設備投資や経費支出を行って、その後精算する流れとなります。

よって「先に給付を受けるわけではない」ので、資金繰りには十分注意をしましょう。

・「採択型」は必ずしも受かるとは限らない
「採択型」は応募内容が採択されてはじめて受給できます。これは他の応募者との競争の結果なので、どれだけ頑張っても必ずしも採択されるとは限りません。

 

補助金の探し方

では補助金を探すにはどうすれば良いのかということですが、お知り合いに税理士や社労士の方がいればお聞きになると教えてくれると思います。

もし自分で探すのであれば、インターネットで専用の検索サイトを使うことをオススメします。

代表的なサイトとして、次の3つを紹介します。しかし、どのサイトも全てを網羅しているわけではありませんので、いくつか併用すると良いでしょう。

(1)J-Net21 (http://j-net21.smrj.go.jp/index.html
経済産業省所管の独立行政法人で、中小企業施策の総合的な実施機関の役割を担っている中小企業基盤整備機構のサイトです。国や自治体・公共団体などの施策を幅広く網羅しており、使い易いサイトです。

(2)ミラサポ (https://www.mirasapo.jp/
中小企業庁の委託により運営されている、中小企業とその支援を行う支援機関や専門家のためのサイトです。検索機能が豊富で、検索した施策を同じ画面で比較できるという機能があります。

(3)自治体HP
自治体のHPでは、実施している施策を掲載することがあります。会社や事務所のある自治体のHPをチェックしてみましょう。

ちなみにHPの構成は自治体ごと違うので、サイト内検索で探すことが良いと思います。

 

補助金の活用のポイント

私は業務上、いろいろな企業の申請書を拝見することがあります。そのなかには「がんばって書かれているけど、残念ながらこれでは『採択』は難しいだろうな…」と感じるものがあります。

そうした申請書の共通点を考えてみると、理由はおもに3点あります。
✔ 必要な情報が書かれていない
✔ 申請書のなかで話がつながっていない
✔ 内容がわかりにくい
の3点です。

補助金の申請書作成は、モノによりますがそれなりの時間がかかります。せっかく時間をかけて補助金に挑戦するのなら、採択という結果をつかみとりたい、と思うのが普通でしょう。

ここから上記の3点を解決する申請書の「書き方のコツ」をお伝えします。

なお補助金はいろいろありますが、ここでは「小規模事業者持続化補助金」を題材に説明します。この補助金は最近人気があり、初めての方でも取り組みやすいものです。

ぜひ参考にして、採択につなげてください。

 

必要な情報とは?

まず1点目の「必要な情報が書かれていない」ことの解決法です。

そもそも必要な情報とはなんでしょうか?

採択型の補助金の場合、普通は公募要領に審査の観点が書かれています。

「小規模事業者持続化補助金(平成29年度補正予算版)」では、P78の(1)採択審査方法に次のように書かれています。(→http://h29.jizokukahojokin.info/files/5315/2456/1022/koubo_h29a.pdf

そしてP79をみると、次のように書かれています。

つまりどんなにたくさん書いても、審査の観点にあっていなければ評価されないということです。まず申請書を書く前に、この部分をしっかりチェックしましょう。

ここで大切なことは、審査の観点で求められていることはすべて書くということです。

この補助金は上記にあるように加点審査です。書く内容も大事ですが、そもそも書かれていなければその観点は0点です。求められることにはすべて応えましょう。

 

話ががうまくつながらない場合はどうするか

「小規模事業者持続化補助金」では、簡単な経営計画書と補助事業計画書をつくります。

経営計画書では、「企業概要」「顧客ニーズと市場の動向」「自社や自社の提供する商品・サービスの強み」「経営方針・目標と今後のプラン」など、補助事業計画書では「販路開拓等の取組内容」「補助事業の効果」「経費明細表」などを書きます。

これらの内容がストーリーとしてつながっていないと、読みにくい申請書となります。

ではこれを解決するために、どのようにストーリーをつくればよいかを説明します。

 

ストーリーのつくり方

ストーリーの考え方のコツは、「後ろから考える」ことです。

補助金に申請する目的は、経費に対して補助をもらうことです。

今回の場合だと、経費明細表から順に次のように考えるとうまくストーリーがつくれます。

申請書の順で書いていくのではなく、まずストーリーを整えてから記載しましょう。

 

内容はわかりやすく

普段の業務で何気なく使っている言葉でも、業界がかわると通じない言葉はたくさんあります。

補助金の審査員は専門家とよばれる人たちが行います。しかし専門家といっても、すべての業界に精通しているわけではありません。

せっかくよい内容でも、審査員に通じないのであれば書かれていないのと同じです。

素人に説明するつもりで、誰でもわかる言葉で書くようにしましょう。

どうしても専門用語を使わないといけないときは、その言葉に注釈をつけるようにしましょう。

 

図表の活用

自社にとっては当たり前のことでも、文章だけだと理解が難しい場合があります。審査員によく理解してもらうために、図表を積極的に使いましょう。

例として介護保険事業のビジネスの説明をしてみます。

介護保険内のサービス提供に関して、まずは文章だけで書いてみます。

さあ、どうでしょうか?

介護事業に従事されている人なら分かると思いますが、ほかの人はこれでビジネスが頭に入ったでしょうか?

ここに文章を補足する図表を追加してみます。

いかがですか?

これならこの業界を知らない人でも、サービスの流れが分かるのではないでしょうか?

図表といっても難しく考えないでください。

たとえば業務やサービスの流れを表すときは、登場人物や組織とその間の関係性を矢印で結ぶだけで、ほとんど表現できます。

これは補助金の申請だけでなく、社内資料や提案資料にも使えるテクニックです。ぜひ活用してみてください。

 

小見出しをつける

人が文章を読むとき、そこに「何が書かれているか」考えながら読みます。

補助金の審査員であれば、採択審査のために「必要な情報が書かれているか」「その内容が妥当か」といった読み方をしているはずです。そうであるならば、書いてある内容を明確にアピールした方が有利となります。

文章の冒頭に「要約」を小見出しとしてつけることで、読み手の中にメンタルモデル(「こういうことだろう」という仮説や予測)をつくり出し、理解を助けることができます。

例として「自社や自社の提供する商品・サービスの強み」で説明します。

美容室の強みを、まずは普通に小見出しナシで書いた例です。

どうですか?

強みを書くほど読むことがつらくなりそうです。かといって、ここでアピールしないわけにはいきません。

そこでこの文章を意味ごとに分け、それぞれの「要約」を小見出しにしてみます。

いかがですか?

文章は同じでもポイントがすっきりし、読みやすくなりませんか?

これは決して難しいことではありませんが、ひとつ注意点があります。それは「文章を書いてから小見出しをつける」という順序で行うことです。

小見出しから書くと、本文を書いているうちに意味がずれてしまうことがあります。まず言いたいことを書いて、それを「要約」するとどういうことか?という順番で書くとよいでしょう。

 

文字の色の工夫

申請書を書くとき、文字の色は黒が基本です。

しかし公募要領に特に断りがなければ、アクセントとして強調したい部分に別の色を使うこともアリです。ただし使いすぎると逆に読みにくいので、アクセントの色は1色、多くても2色としましょう。

ちなみに私の場合、アクセントは青を使います。これは青が目にやさしい(うるさくない)ためです。どうしてももう1色必要なときは、赤を使います。

応用テクニックとなりますが、書くことに慣れてきたらトライしてみましょう。

 

強調の仕方

文字のアクセントの方法として、色のほかに下線や太字があります。どれがよいというのはありませんが、使うのは「1か所につき1つだけ」にしましょう。

1つの文字に下線をつけ、かつ太字にもすると見た目がうるさくなる場合があるので、避けたほうが無難だと思います。

 

まとめ

今回は「補助金」についてお話ししましたが、いかがでしたでしょうか。

当社で設備投資や正規雇用などの取り組みを予定している場合は、該当する「補助金」がないか確認しましょう。

メリットにも書きましたが、当社の利益率が10%の場合、給付額の10倍の売上と同等の価値があります。

本来もらえるはずが知らないことで受給できないのは損です。定期的にチェックするようにしましょう。

 

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